Q&A
よくある質問
会社の法的整理の前に会社の事業を第二会社に移し、事業を存続させる方法があると聞いたのですが、その手法を教えて下さい。
いわゆる外科型再生スキームにおける第二会社方式と言われる事業再生手法であり、破綻懸念先企業の事業の中で採算性のある一部の良質な事業だけを、別会社に有償譲渡し、残った部分を法的に処理するものです。すなわち、会社が窮境な状況になった要因が、過去の放漫経営や過大投資等であった場合に、過剰債務を除去し経営規模を身の丈に縮小すれば、事業を存続することが可能なケースが多々あります。このような場合に一人でも多くの雇用と一社でも多くとの取引先との取引を本スキームにより維持することは、無用な失業と連鎖倒産を抑止するという意味で国益に資するものと言えます。また、第二会社において旧会社の経営者が従業員等で雇用されれば、経営者の生活再建に大変効果的であると思われます。
会社債務の法的整理と債務保証をした経営者の責任との関係を教えて下さい
会社の債務が自己破産等により免責された場合に、経営者個人が負っている債務も自動的に免責されると勘違いされている経営者が多いのも事実です。残念ながら、会社の法的整理とは別に、経営者個人は別個の手続として、自らが負った会社の連帯債務を法的ないし私的に整理しなければなりません。その場合、会社に対する連帯債務を法的に整理するには、他の債務、すなわち、住宅ローンや自動車ローンも同時に債務整理の対象となるため、事前の対策を誤ると大事なマイホームやマイカーを失うことになりますので、留意が必要です。なお、会社の債務を自己破産手続により法的に整理する場合に、経営者個人も同じタイミングで自己破産の申立を申請すれば、会社の申立予納金だけで、経営者個人の破産処理も行ってくれるという同時申立の制度が例外的にあります。会社債務の私的整理と法的整理の判断の仕方を教えて下さい。
会社の債務を私的に整理するということは、会社が個々の債権者と個別に債務免除ないし返済条件の変更等を行うものですから一般的には平成25年3月で終了した金融円滑化法による返済条件の変更が具体例として挙げられます。また、私的整理の中で最も制度として活用されているものとして中小企業再生支援協議会(2次対応)による金融調整(金融機関に対する私的な債務整理手法)がありますが、それでも、年間対応数は平均300件程度であり、リスケ企業40万社との比較で言えば、利用可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
従って私的整理は、法的な強制力をもつものでもなく、大幅な債務免除を受けれるものではないため、相応の信頼関係が会社と金融機関との間に存在していることが前提条件と言えます。そのため、金融機関のみならず税務当局・社会保険事務所・仕入先等の債権者を巻き込む債務整理手続においてはおのずと法的整理に依らざるを得ないということになります。
会社債務の法的整理を依頼する弁護士先生の選任方法につき、アドバイスをお願いいたします。
先ほどの少額管財事件の申立ケースのように、弁護士を代理人に選任しなければ申請すらできないものもあります。また、実際問題、法的整理の過程においては、経営者が債権者・株主・従業員等から損害賠償請求訴訟を提起されたり、破産管財人から申立直前(2年間)の財産移転行為につき否認権を行使されたりと、窮地に追い込まれたりするケースが散見されます。このような場合、破産手続に精通した弁護士、いわゆる破産管財人の経験が豊富な弁護士を選任しているか否かにより、経営者にのしかかる精神的・経済的負担は大きな差となってきます。しかも、全国で数多くいる弁護士の中で、破産手続に精通した弁護士は大変数が少ないのが実状ですので、代理人弁護士の選任には十分に留意する必要があります。知り合いから会社の債務は月1万円程度分割で債権者に支払えばいいというアドバイスをされますが、本当にそれで債務整理ができるのでしょうか?
確かに、経営者個人にとりたてて守るべき財産や資格等もなく、将来において相続財産の継承や経済的好転が見込まれない場合に、費用をかけてまで、会社の債務につき法的整理をする必要があるかと言えば、答はNOです。現実的にも経営者の主たる債権者である信用保証協会や日本政策金融公庫等の公的機関の債権回収は決して手荒な手法は取らず、債務者の資力に応じて柔軟に対応してもらえます。1億円もの債務を抱えながらも、月額1万円程度の支払で債務整理どころか事業を継続している会社がたくさん存在しているのも実状です。
しかしながら、ここで勘違いしてはいけないのは、月1万円程度の分割払いというのは、あくまでも暫定的な返済であり、法的な債務整理では決してないということです。
従って、このような債務は年率14.6%の遅延損害金が加算され続けるため、月1万円程度の返済程度では、債務金額はかえって増え続けることになります。
これらの公的機関は手荒な回収行為をしない半面、債務免除には一切応じないのが通例であり、民事再生手続における再生計画案には積極的に反対票を投じるのが一般的です。
そして、債権回収については何年経過しても断念放棄することなく、債務者に対する支払の